乳酸菌のミラクル“乳酸菌生産物質”と新概念“バイオジェニクス”

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目に見えないほど小さな乳酸菌。(当たり前かもしれませんがw)

でも、その生命体が作り出す物質には、とてつもない可能性が秘められています。

最近ではその機能性が次々と解明され、私たちの身体にどのような作用をもたらすのかが分かってきました。

中には、インフルエンザやアレルギー症状など、特定の疾患に対する効果がわかっているものもあります。

ここでは、乳酸菌が作り出す奇跡の物質“乳酸菌生産物質”とその効果、バイオジェニクスについて、詳しく紹介します。

生産物質とは?

“生産物質”というとなんだか堅苦しい言い方ですが、ざっくり表現するならば、微生物が作り出す物質を指します。

または“代謝産物”という言い方もします。

生産物質の種類は微生物の種類によって違いますが、例えば乳酸、酢酸、アルコール、アミノ酸、ビタミンなども生産物質です。

また、抗生物質として有名な“ペニシリン”もアオカビの生産物質です。

今年ノーベル賞を受賞した北里大学特別栄誉教授・大村先生が開発した“イベルメクチン”という寄生虫病の特効薬も、もとは土壌に棲む微生物の生産物質です。

私たち人間は“発酵”という技術によって、何千年もの間、微生物による生産物質の恩恵を受けてきました。

発酵は食品を腐りにくくするだけでなく、消化を助け、さらに発酵食品に含まれる“生産物質”によって私たちの健康をサポートしてきたのです。

もちろん、発酵食品が健康食品として科学的に解明されたのは微生物が発見された17世紀以降のことだから

“生産物質”の歴史もそんなに古いわけではありません。

ペニシリンやイベルメクチンのように医療分野での応用に至らないまでも、トクホなど特定の効果が認められる物質に目が向けられるようになったのは、ここ数十年のことなのです。

 乳酸菌の生産物質

微生物はたくさんいますが、その中でも私たち人間に最も身近で有用なものといえば“乳酸菌”があげられるのではないでしょうか。

乳酸菌が作り出す発酵食品が健康食であることを知らない人は少ないでしょうし、その代表例である“ヨーグルト”が健康にいいことを疑う人はいません(たぶん…)。

特に最近は特殊な物質を生産する乳酸菌で作られた“機能性ヨーグルト”が多数開発され、全盛期を迎えています。

(過去記事:望みが叶う、あなたに合う機能性ヨーグルトを見つけよう

それでは、人間の健康に対して有効な“乳酸菌生産物質”には、どのようなものがあるのでしょうか?例えば、

  • 乳酸
  • アミノ酸・ビタミン類
  • 多糖類
  • ナゾの○○

などです。それではこれらが何に効くのか、詳しく掘り下げてみましょう。

乳酸:整腸作用

乳酸菌という名称の元になった、代表的な生産物質です。

「発酵によって糖類から50%以上の乳酸を生成する菌」が乳酸菌です。

乳酸は酸の一種で、舐めると酸っぱいのですが、フルーツに多く含まれるクエン酸よりもまろやかな風味を持っています。

ヨーグルトの酸味がフルーツほどツンとこないのは、乳酸だからなんですね。

さて、この乳酸、健康にもちゃんと貢献しています。

腸の中で乳酸菌が乳酸を産出すると、酸性に傾いていきます。

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すると、同じく腸を棲みかとする大腸菌ウェルシュ菌などの悪玉菌は酸性の環境が苦手なため、増殖できずに減少していきます。

一方で善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌にとっては良い環境なので、活性化し増殖していきます。

こうして腸内環境が改善されると、便秘や免疫機能のアップにつながります。ダイエットにも効果がありますね。

アミノ酸・ビタミン類:栄養補給

もともと発酵とは、原料となる牛乳や野菜などを微生物が分解し、それが人にとって有用である場合をさします。

これが有用でないと“腐敗”になるわけですね。

しかし、どちらも微生物の側から見ると、自分に必要な栄養を得るための“食事”なわけです。

ですから、原料の牛乳や野菜はその微生物が利用できるように分解されます。

それを私たちは発酵食品として利用しているのです。

微生物により発酵すると、肉や牛乳などのタンパク質はアミノ酸やアミノ酸に近いところまで分解されています。

つまり、半分消化が進んだところを私たちが食べるわけですから、私たちの胃腸は始めの段階から消化をする必要がありません。

これが「発酵食品は消化に良い」といわれる理由です。

なお、アミノ酸は“分解物”で、狭義の“生産物質”ではないという見方もあります。

また、微生物は食事(=発酵)をして自分に必要な栄養素を作り出しますが、中には乳酸菌の菌体内で作られるビタミンもあります。

ビタミンB1、B2、B6、葉酸、パントテン酸などが代表的です。

昔の人たちは何が入っているかわからなくても、現代の栄養ドリンクのように「なんか食べると調子が良くなるんだよね~」といった感覚で摂っていたのかもしれませんね。

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多糖類:免疫力など

さて、機能性ヨーグルトの真髄といったらコレでしょう。『R-1ヨーグルト』や『カスピ海ヨーグルト』に含まれる物質です。

正確には“菌体外多糖(=Exopolysaccharide 略してEPS)”といいます。

わかりやすいのはカスピ海ヨーグルトの“とろーっ”としたヨーグルトの食感を作り出している物質です。

EPSとは菌が体外に放出する多糖類の総称なので何種類もあり、カスピ海ヨーグルトとR-1のEPSは別モノです。

両方食べたことがある人は、“トロトロさ”が違うことをご存知だと思います。

もちろん菌種も違っていますね。機能性が明らかにされている乳酸菌のEPSはいくつかありますが、入手しやすいこの2例を比較してみましょう。

〈代表的なEPSの比較〉

品名明治プロビオR-1ヨーグルト

フジッコ カスピ海ヨーグルト

菌種Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1Lactococcuslactis subsp. Cremoris
効果免疫力アップ

インフルエンザ死亡率の低下

インフルエンザワクチン効果アップ

関節炎予防効果

便秘改善

ž免疫力アップ

žアトピー性皮膚炎の軽減

ž食後の血糖値上昇抑制

いずれもマウスやヒトでの実験により確認できた効果です。期待しちゃいましょう!

他にも、日東薬品工業が所有する乳酸菌Leuconostocmesenteroides subsp. NTM048のEPSで

免疫の活性化と炎症の抑制効果が確認されています。

アトピー性皮膚炎や乾癬への効果が期待できるそうですよ。

実用化が待たれますね。

ナゾの○○

うーん、表現しづらいので○○物質としておきます。

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「この乳酸菌が健康に関与しているのは確かなんだけど、何が作用しているのかはわからない」ってパターン

実は一番多いんです。

 

先に触れた通り、乳酸菌生産物質の歴史はここ数十年、まだまだその作用機構が解明されていないからなんですね。

もともとすっごく小さい菌が作る物質ですから、その生産量もごくわずか

同じ菌を大量に純粋培養し生産物を抽出して検証するか、可能性のある物質を生産しない同種の菌を開発して、その効果を比較検証するか…といった方法しかないわけです。

しかも、いくつかの物質の複合的効果である可能性もあります。非常に気の遠くなる作業ですね。

ですから、多くの企業はどの物質が健康に関与しているかを突き止める(=同定)前の段階で実験結果を公表し

“この乳酸菌で作ったヨーグルトを食べたら、こういう効果が得られた”という事実に基づいて広告しているわけです。

医薬品だとNGですが、食品業界では問題のないことです。例えトクホ商品であろうと同じこと。

効果が得られたという詳細なデータは必要ですが、その物質を同定(どれか見極め)する必要はないのです。

いかに菌の世界が未知数でわからないことだらけか・・・。そして国も認めているわけですね。笑

その物質が何であるかわからなくても、効果が得られればヨシ!

…というわけで、○○物質の恩恵だけは受けておきましょう。

バイオジェニクスとは?

“プロバイオティクス”って言葉を聞いたことがあるという人は多いかもしれません。

プロバイオティクスとは

「腸内菌叢のバランスを改善することにより人に有益な作用をもたらす生きた微生物」

(微生物学者Fullerによる定義)のことです。

しかし、プロバイオティクスは“腸内菌叢に作用する生きもの”それを含む食品を指す言葉なので、

微生物が作り出した非生命体である“物質”にどんな効果があっても適用できる言葉ではありませんでした。

つまり、生産物質を抽出してサプリメントを作り、それが腸内菌叢に達する前に人体に効能をもたらした場合、それは“プロバイオティクスではないのです。

そこで生まれた新しい概念が“バイオジェニクス”です。

これを提唱したのは世界的な腸内細菌学の権威である東京大学名誉教授・光岡友足先生です。

バイオジェニクスとは“菌が生産したもの”

という意味で、腸内菌叢を介さず身体に直接働きかけたり、腸内菌叢のバランスが正常になるように働きかけたりする物質を指します。

つまり、菌が生きているか死んでいるかは関係なく、乳酸菌の作り出す物質(代謝産物や菌体成分)が乳酸菌生産物質であり、

これが腸内の免疫機能を刺激することで体の機能を向上させ、腸内菌叢にも良い影響を与える…という考え方なのです。

生産物質のメリット

こういったバイオジェニクスには、プロバイオティクスに勝るメリットがあります。

なぜなら、プロバイオティクスを摂取したとしても、その人の腸内菌叢との相性の問題があるからです。

自分の腸にいる菌が、自分が摂取したプロバイオティクスを好んで食べたり、栄養を補給してもらったり、

さらにはプロバイオティクス自体が腸まで生きて到達し発酵を続けて生産物質を供給したり…といったことができるかどうかには、個人差があるということです。

でも、腸内菌叢を介せずに直接身体に作用するバイオジェニクスには、相性の問題はさほどありません。

処方薬にしても効きやすい人・効きにくい人はいますから、問題が全くないわけではありませんが、プロバイオティクスよりは多くの人に効果が出やすいはずです。

つまり、機能性ヨーグルトなどの効果が腸内菌叢に作用した結果ではなく、その生産物質が直接身体に作用したものならば、より多くの人で期待できるということになります。

ヨーグルトなどの発酵食品は、乳酸菌のプロバイオティクスとしての効果だけでなく、食品中に含まれている生産物質によるバイオジェニクスの効果も期待できるということですね。

前述の“ナゾの○○”の中には、こういったバイオジェニクスが隠れているのかもしれません。

まとめ

まだまだ解明されていない乳酸菌の作用ですが、多くの研究機関により様々な菌種や作用が発見され続けています。

既に発見された乳酸菌にも、ペニシリンやイベルメクチンのような驚くべき生産物質が潜んでいるかもしれません。

科学的根拠も大切ですが、私たちの祖先が発酵食品として経験的に伝えてきた乳酸菌の効用を、素直に信じてみるのも良いかもしれませんね。

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