ヨーグルトは誰もが認める健康食品ですが、プロバイオティクスだけでなく、栄養価が高く吸収率のよい食品としても優れています。
でも、ちょっと待って!“栄養価が高い”とか“吸収率が良い”とかって、つまり“太る”ってことじゃないの!?
ここでは“ヨーグルトが太る”という点について、よくある誤解の解説と、太らない食べ方・ダイエットに役立つ食べ方などを提案します。
ヨーグルトは太るの?太らないの?
冒頭の一文を見て「太らない食べ方っていうことは、やっぱり太るんじゃない?」と思った人、半分アタリです。
こういう言い方をすると乱暴かもしれませんが、どんなに優れた食品でも栄養価がある以上、ドカ食いすれば太ります。ヨーグルトだってその通りです。
ですが、断言します。
普通の体質の人ならば、ヨーグルトそのものを食べて太ることはありません。
その理由を説明していきましょう。
これが原因!ヨーグルトで太る理由
繰り返し言いますが、ヨーグルトを食べすぎたくらいで太ることはありません。
まずはヨーグルトの栄養成分を見てみましょう。
〈ヨーグルトの栄養成分例(100gあたり):各社HPより抜粋〉
明治ブルガリアヨーグルトLB81プレーン | 雪印メグミルク ナチュレ恵プレーン |
|
熱量(kcal) | 62 | 63 |
たんぱく質(g) | 3.4 | 3.6 |
脂質(g) | 3.0 | 3.1 |
炭水化物(g) | 5.3 | 5.2 |
ナトリウム(mg) | 51 | 45 |
カルシウム(mg) | 109 | 110 |
ご覧の通り、両社とも栄養成分的には大きな差は見られませんね。
では、店舗で近くに並べられているゼリーやプリンといったチルドデザートと比べてみましょう。
〈チルドデザートの栄養成分例(100gあたり):各社HPより換算〉
ゼリー(Y社) | プリン(M社) | 焼プリン(O社) | |
熱量(kcal) | 70 | 124 | 134 |
たんぱく質(g) | 0 | 1.3 | 4.6 |
脂質(g) | 0 | 4.3 | 5.4 |
炭水化物(g) | 32.7 | 20.3 | 16.6 |
ナトリウム(mg) | 44 | 51 | 65 |
カルシウム(mg) | - | - | - |
ダイエット中の人が気にする栄養成分は“熱量(エネルギー)”“脂質”“炭水化物”ですね。
この3つに着目して比較するとゼリーの脂質以外の項目は、すべてヨーグルトの方がヘルシーということがわかります。
さらに、“脂肪ゼロ”のヨーグルトを選べば、この点もクリア!…ですね。
では、なぜ“ヨーグルトは太る”という誤解が生まれたのでしょう?
答えは単純、“砂糖の入れすぎ”です。
ヨーグルトのカロリーを押し上げているのは砂糖だったのです。
どういうことかというと、先ほど紹介したヨーグルトはいずれもプレーンヨーグルトです。
加糖されていないので甘くありません。
ヨーグルトとは牛乳などの乳製品を乳酸菌やビフィズス菌で発酵した食品のことを指しますから「もともと甘くない」のです。
海外ではヨーグルトは調理用の食材として隠し味やドレッシングなどに使われます。
そのため無糖のプレーンヨーグルトにも馴染みがありますが、日本は食文化として定着してから日が浅く、デザートとしての認識が根強いのも事実です。
また、酸味をやわらげるため、加糖した食べやすい商品が多く流通していることも背景にあります。
そして、この砂糖類は炭水化物(厳密には糖質)に分類されます。
では、どのくらい栄養成分が変化するのか、見てみましょう。
〈無糖・加糖ヨーグルトの栄養成分比較(100gあたり):各社HPより換算〉
明治 ブルガリアヨーグルト | 雪印メグミルクナチュレ恵 | |||
プレーン | フルーツ(加糖) | プレーン | フルーツ(加糖) | |
熱量(kcal) | 62 | 75 | 63 | 79 |
たんぱく質(g) | 3.4 | 4.1 | 3.6 | 3.9 |
脂質(g) | 3.0 | 4.0 | 3.1 | 1.1 |
炭水化物(g) | 5.3 | 11.3 | 5.2 | 13.2 |
ナトリウム(mg) | 51 | 49 | 45 | 56 |
カルシウム(mg) | 109 | 128 | 110 | 120 |
パッと見ても、軒並み成分値が上がっているのがわかりますね。
熱量はだいたい1.2倍、炭水化物に関しては2.1~2.5倍に増えているのがわかります。
フルーツタイプの脂質については「ナチュレ恵」は「ナチュレ恵(脂肪ゼロ)」を使用しているようなので、これと比較すると1.1倍、明治は1.3倍になります。
いかに炭水化物の量が増えているか、一目瞭然ですね。
最近の研究では、炭水化物は最も体脂肪に変化しやすい栄養成分であることがわかっています。
そう、太る原因は脂質よりも炭水化物にあるのです。
…もうお分かりですね。
ヨーグルトであれ、何であれ、砂糖がたっぷり入ったものを食べれば、体脂肪の原因になっちゃうわけです。
だから、ヨーグルトがダイエットの敵ではないと断言します。
砂糖にこそ、注意を払うべきだったんですね。
乳脂肪は大丈夫?ヨーグルトの気になる成分
…とは言っても「砂糖だけじゃないでしょ?」って思っている人、いますよね?〈笑〉
「だって、脂質だって3.5%くらい入っているし、動物性だから飽和脂肪酸だし、コレステロールだって入っているから、太りやすいっていうじゃない?」
…はい、その通りです。
実際のところ、“牛乳・乳製品=太りやすい”という認識は、こういった事実の上に成り立っています。
ところが、2010年、日本酪農乳業協会(Jミルク)が「牛乳・乳製品をよく摂る人は、メタボの割合が低い」とする調査結果を日本栄養・食糧学会誌8月号発表しました。
この効果は男性よりも女性で顕著に見られ、なんと牛乳・乳製品をよく摂る女性ではメタボの割合が4割減少していると報告されています(乳製品のうち、牛乳と組成が大きく異なるチーズは除外されています)。
これらの研究結果をうけて、Jミルクでは「牛乳や乳製品には肥満を防止する機能がある。メタボや肥満の原因になるという理解は間違い」と強調しています。
(参考:女子栄養大学 栄養生理学研究室【今後の「食」を探る】← PDF注意!)
実際のところ、人の体内での栄養素の挙動はすべてが明らかになっているわけではありません。
確かに、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸を比べたら太りやすいのは飽和脂肪酸であり、脂肪のエネルギー量が大きいのは本当です。
しかし、飽和脂肪酸単体でなく、他の要素が加わった“食事”として摂取した場合、単体の時とは異なる挙動を示したとしても不思議ではありません。
事実、先ほど述べたように、体脂肪の原因になるのは脂肪ではなく糖質であることもわかってきて、脂肪やたんぱく質が混在する方が糖質が体脂肪に変わりにくい(=脂肪やたんぱく質が阻害してくれる)ということも報告されています。
ひと昔前のように、ダイエットと言ったらカロリーを気にするのではなく、糖質の量を調整するべきだという理論に基づいた「低糖質ダイエット」などもあります。
※もはや超有名なライザップも低糖質ダイエットですよね 笑
食品のカロリーについてですが、単純に“見た目のカロリーだけに注目するのは間違い”という見方もあります。
食品成分表では、例えば牛肉なら“生”と、“調理中に抜けた油やビタミンなどを考慮したもの”と複数の数値が掲載されています。
しかし、それだけでは不十分だという指摘があるのです。
私たちの体は、食物を栄養として分解・吸収する過程で、大量のエネルギーを消費しています。
つまり、調理加工された肉を食べた時よりも、生肉を食べた時の方が消化〈分解・吸収〉する過程で体に負担がかかり、より多くのエネルギーを消費することになる、というのです。
この「摂取したエネルギーと、消化に要したエネルギーの差が“獲得したエネルギー”になる」という点が、栄養成分としての熱量表示からは判断できないという問題があるのです。
もしかしたら、牛乳や乳製品を好む人は、食べ物に対してコクやこってり感を求める傾向があるかもしれません。
牛乳を大量に飲む人なら、食生活自体が偏っている可能性も無視できないと思います。
もう一度、冷静に考えてみてもいいのではないでしょうか?
ダイエットにはヨーグルトを活用すべし
さて、ここまで読んでいただければ、ヨーグルトがダイエットの敵ではないと納得できたことでしょう。
ここではさらに踏み込んで、「ヨーグルトはダイエットの味方」と宣言します。しかし、鉄則を守ることが絶対条件です。
その鉄則とは…
- 砂糖を入れない・入れすぎない
- 脂質が気になるなら脂肪ゼロタイプを選ぶ
- 自分の腸と相性の良いヨーグルトを選ぶ
この3つです。
その理由を説明しましょう。
砂糖を入れない・入れすぎない&脂質が気になるなら脂肪ゼロタイプを選ぶ
まず、ダイエットをしたいなら、加糖タイプのヨーグルトやフルーツヨーグルトを買ってはいけません。
ただし、「砂糖不使用〈甘味料を使用したタイプ〉」もありますので、これはOKです。
とにかくプレーンヨーグルトを買って食べましょう。無脂肪タイプなら、カロリーを気にする人も安心です。
…といっても、「酸っぱいヨーグルトは苦手」という人もいますよね。
もちろん甘みを加えること自体は問題ありません。ただし、砂糖はダメです。
砂糖は糖質の仲間で、体脂肪に変わりやすいだけでなく、1gあたり4kcalのエネルギーを持っています。
スティックタイプの砂糖1本を追加しただけで、摂取カロリーは12kcalアップします。
ダイエット中の人なら12kcal分運動する大変さをわかってもらえると思います。
では、どうすればいいのか…というと、おススメは“オリゴ糖”を使うことです。
市販品『オリゴのおかげ』を例にあげると、甘みの強さは砂糖の80%になりますが、カロリーは約半分。
さらに③で触れる善玉菌のエサになってくれるので、ダイエットの強い味方です。
(サプリでさらに相乗効果を出したいときはカイテキオリゴをお勧めします。)
善玉菌のエサにはなりませんが、低カロリー甘味料『パルスイート』ならカロリー90%カットですし、0kcalのタイプもありますよ。
デザート感覚でフルーツ入りのヨーグルトを食べたいなら、フルーツソースを甘味料を使って自作するのも良いです。
カロリーオフのジャム(コンフィチュール)やコンポートなども市販されていいますので、加えて楽しむのもいいですね。ただし、入れすぎ厳禁ですよ!!
自分の腸と相性の良いヨーグルトを選ぶ
“ダイエットの味方”といったのは、ヨーグルトが“便秘”というデトックスを促進するのに最適だからです。
不要なモノを排出しなければ、新たに生じた老廃物を排出することはできません。
どんなに運動して脂肪を分解(燃焼)させても、排出が滞っていると、代謝は促進されないのです。
そのためには便秘をしないことが一番です。
私たちの腸に棲んでいる善玉菌の種類はそれぞれ異なっています。
善玉菌が増えれば便秘は解消されますが、この善玉菌を外から取り込み腸に定着させるのは、実はとても難しいといわれています。
逆に、一番簡単な方法が、いま棲んでいる善玉菌を増やす(増殖させる)こと…
つまり善玉菌にエサをあげることなのです。
そして、そのエサとして最適なのは乳酸菌やその生成物なんですね。
これを多量に含んだ食品が「ヨーグルト」なんです。
でも、善玉菌は意外とわがままでグルメです。
気に入った乳酸菌やその生成物でないと、好んで食べてくれません。
そこで、自分の腸〈=善玉菌〉と相性のよい乳酸菌を含んだヨーグルトを見つけてあげることが大切です。
相性がよければ便秘が改善されますし、免疫力が上がったり、肌がきれいになったりと、メリット満載です。
さらに、前述のオリゴ糖や食物繊維なども善玉菌のよいエサになります。
食生活にこれらをプラスすれば、ヨーグルトの恩恵を余すところなく受けられる…というわけです。
どのくらい食べても大丈夫?
前述のJミルクによる研究は8,000人もの大規模調査の結果ですが、このデータは摂取量をカルシウム量に換算して検証しています。
牛乳やヨーグルトのカルシウム量はざっくり100gあたり100mgです。
これから考えると、女性は摂取量が100g以上なら多くとも少なくとも効果があり、男性では多いほど効果が高いといえます。
データの上限は示されていませんが、最大は300g以上になっているので、プレーンヨーグルト(400~450g入り)の4分の3量だと思うと結構な摂取量ですね。
このことから考えると、上限よりも下限に注意した方が良く、女性なら100g以上、男性なら300g以上摂ればメタボに効果があると見られます。
まとめ
今でこそ“プロバイオティクス”という認識が広まり、健康食品として不動の地位を築いたヨーグルトですが、科学が解明するずっと以前から、私たちは乳酸菌と共存してきたのです。
体質によっては、ヨーグルトで太りやすい人もいるかもしれません。
ですが、うまく砂糖を加えず脂肪ゼロを選ぶなど、ちょっとした工夫でおつりがくるほどの恩恵を受けられるはずです。
ヨーグルトはダイエットの敵ではなく、むしろ味方!自分にあった摂り方を知ってもらえば、心強い味方になってくれるはずです。ヨーグルトを正しく理解し、ぜひあなたの健康やダイエットに役立ててください!
正しい乳酸菌の知識を学び、あなたに美容健康ライフを!!!