世の中にあふれる「○○ダイエット」。
特定の食材を大量摂取するというお手軽な方法です。
ヨーグルトも何度目かのブームを迎えています。
その度に聞こえてくるのが「逆に太った‼」という怒りの声…。
数あるダイエットの中には科学的根拠に乏しいものも多いですが、「ヨーグルトダイエット」に関しては正しい実践法であれば“逆効果”にはなりません。
では何がいけないのでしょう?
今回はダイエット目的でヨーグルトを大量摂取する際に「食べ過ぎても太らない」よう誤解を解いていきたいと思います。
「ヨーグルトの食べ過ぎでは太りませんよ~!!」
解決1:基本は「置き換え」
どんな食材であれ、栄養源となるものは体に吸収されます。
ヨーグルトだって例外ではありません。
いつもと同じように食べ(=エネルギー摂取)、いつもと同じように行動(=エネルギー消費)して、ここでヨーグルトを食べた場合、太ります。
ヨーグルトの栄養価が全て上乗せされるわけですからね。
ただ、人によっては善玉菌の働きが活発になり便通改善などの影響で、この「上乗せ」状態であっても体重が減ることがあります。
ヨーグルトダイエットの信奉者は、こういったタイプの人たちによるケースと見ても良いでしょう。
ただし、これをスタンダードだと考えては間違いです。
ヨーグルトダイエットの基本は「朝食」や「間食(おやつ)」をヨーグルトに置き換えるというもの。
こちらが正解です。
朝食で例えるなら、通常の朝食で摂っていた栄養…わかりやすくカロリーで示しますが、およそ200~500kcalをヨーグルトに置き換える、ということです。
「置き換え」ですから摂取カロリーを減らす必要はないです。
この点がヨーグルトダイエットの大きなメリットです。
この場合、朝食1食分200~500kcalに相当するエネルギーをヨーグルト量に換算すると
プレーンヨーグルト(無糖・無脂肪)…約300~800g
にもなります。
最大で大容量プレーンヨーグルト約2個になりますからね。
これ食べると、かなりお腹がいっぱいになります。
朝食のスタイルは個人差が大きく、食パン1枚という人から焼き魚付き定食風など様々で、中には野菜ジュース1杯や朝食抜きという人もいることでしょう。
ですが、どのスタイルの朝食であっても、ヨーグルトに置き替えて食べ過ぎたからと言って太ることはありません。
少々古いのですが、佐賀県体育保健課による小中高校生を対象とした「平成17年度 食生活等実態調査結果」によると
朝食で圧倒的に多いのは米やパンだけという「主食のみ」や「主食+飲み物」です。
保護者のいる子供たちでさえこの状態ですから、一人暮らしの人ではもっと簡素な食事かもしれませんね。
若い女性なら、朝食は「スムージー」「シリアル」「栄養ドリンク」といったオールインワンのスタイルも多いかもしれません。
朝食に「空腹を満たす」「栄養を摂る」など意識している人も多いと思いますが、やはり栄養バランスの悪さは否定できません。
(といっても、健康な育ち盛りの子供たちなら、朝食はエネルギー源になりやすい糖質中心でも問題ありません。)
ですが、ダイエットを見据えているのであれば、例え200kcalしか摂取しなかったとしても糖質中心であれば太りやすい体質を作っていることになりかねないのです。
これについては乳酸菌とは異なる話になってくるので別項をご覧ください。
主食メインの人の栄養バランスがヨーグルトに置き換えるとどう変わるかですが、格段に良くなります!
栄養学的に見ると、食事から摂るエネルギーの比率“PFCバランス”は「タンパク質(P)15%、脂質(F)25%、糖質(C)60%」が良いと言われています。
理想はP:F:C=15:25:60です。
主食のみ…例えば炊いた白米の場合、P:F:C=6:2:87
となり、脂質が少ないのは良いとして、糖質の比率がかなり高く、タンパク質も半分以下ということがわかります。
一方、プレーンヨーグルトでは、P:F:C=22:44:34
となり、糖質が大きく下がり、タンパク質と脂質の比率が高くなっていることがわかります。
「脂質が増えちゃダメじゃん!!」と思った方、次項も併せてご覧ください。
ここで、お伝えしたいのは、このPFCバランスが変わることによってどんなメリットがあるかという点です。
その1 腹持ちが良くなる
満足感が続けば午前中に間食をする機会が減り、食事の間隔をきちんと空けることができます。
脂質は悪者扱いされることも多いですが、脂質やタンパク質はゆっくりと消化されるため、腹持ちは断然良くなります。
主食メインの朝食では、その時点での満足感はあるものの、消化吸収が早い糖質ではすぐにお腹が減ってしまいます。
お昼ご飯まで我慢できず間食をしてしまうと、その時点で血糖値をもう一度上げることになり、ダイエットにとっては逆効果になります。
朝食で腹持ちの良いヨーグルトをたっぷり食べて“空腹に耐えかねて間食する”ことが減ればダイエットになるわけです。
どうしても脂質が気になるという人は無脂肪タイプを選んでも良いですね。
また、朝食で完全な栄養バランスのものを毎朝摂っている人は、ヨーグルトに置き換えてもイコールということになります。
ヨーグルトに変更しても総カロリーが同等であれば、例え食べ過ぎていたとしても、これだけで太る要素にはなり得ません。
その2 基礎代謝があがる
ヨーグルトはタンパク質に富んだ食品です。
このタンパク質は私たちの筋肉の元となる栄養素です。
ダイエットで一番効率が良いのは、筋肉量を増やして“基礎代謝”を上げることです。
いくらトレーニングをしたとしても、筋肉の材料が不足していれば筋肉は作られません。
だから、プロテイン(タンパク質)を摂りながら行うわけですね。
何も朝食で摂らなければいけないわけではありませんが、1日に必要量のタンパク質を摂るなら、一気にまとめてよりも3食に分けて摂る方が効率的です。
でも、主食メインでは朝食分のタンパク質が全く足りません。
ヨーグルトに置き換えるメリットはココにもあるわけです。
しかもヨーグルトのタンパク質はその構成成分のバランスがパーフェクトなんです(アミノ酸スコア100点)。
さらに、乳酸菌の発酵によってタンパク質が分解され、吸収しやすい状態になっているんです。
毎日の食生活にぜひ取り入れてほしい食材です。
このように、朝食をより良いPFCバランスに変えることはダイエットにとってプラスになることが多いのです。
一方で、朝食を食べない人がおよそ男性14%、女性10%いることが厚生労働省の調査で分かっています(2016年「平成27年国民健康・栄養調査結果の概要」)。
朝食を抜いている人にとってはヨーグルトを食べた分が上乗せになりますが、これはマイナス要素ではありません。
朝食を食べると代謝のスイッチがONになり、朝食後数時間にわたって代謝が上がることがわかっています。
逆に、朝食を抜くと、体は飢餓状態になるので次の食事の時に必要以上に栄養を吸収しやすい状態になります。
ダイエットにとっては朝食をとる方が良いわけですね。
解決2:敵は脂質ではなく糖質
もはやダイエッターの中では常識になりつつある“低糖質”理論。
これは、「脂質よりも糖質の方が中性脂肪に変わりやすく、内臓脂肪が付きやすくなる」というものです。
つまり、摂取カロリー(エネルギ-)ではなく、体内での脂肪への変わりやすさに着目した理論です。
さらに、低糖質の食事にすることで血糖値の急激な上昇を防ぎ、ダイエットにもつながります。
ダイエットというとカロリーに目が行きがちで、脂質は同じ重さでも糖質やタンパク質の2.25倍も大きなエネルギーになることから脂質の摂取を抑制する風潮があったわけですが、実際のところ、脂質は体脂肪に変わりにくいことがわかっています。
むしろ過剰に摂取した糖質が体脂肪に変換されていたわけです。
これは医学的にも証明されており、事実、脂肪肝の患者には糖質の摂取量を少なくすることが推奨されています。
また、適量の脂質を糖質と一緒に食べることで、糖質の吸収率を下げられることもわかっています。
つまり、前述のPFCバランスでみると、ヨーグルトの脂質の量は理想値よりも若干高くはありますが、大幅に糖質の割合や吸収を抑制するメリットの方が高いということもできるわけです。
さらに、2010年、日本酪農乳業協会(Jミルク)が「牛乳・乳製品をよく摂る人は、メタボの割合が低い」とする調査結果を日本栄養・食糧学会誌8月号発表しました。
この効果は男性よりも女性で顕著に見られ、なんと、牛乳・乳製品をよく摂る女性ではメタボの割合が4割減少していると報告されています(乳製品のうち、牛乳と組成が大きく異なるチーズは除外されています)。
これらの研究結果をうけて、Jミルクでは「牛乳や乳製品には肥満を防止する機能がある。メタボや肥満の原因になるという理解は間違い」と強調しています。
「脂質の量が多い」=「カロリーが高い」は正解ですが、「脂質の量が多い」=「太りやすい」は間違いだということを知っておきましょう。
解決3:食べるタイミングは気にするな!
ヨーグルトをちょこっと食べるのなら、食後や間食などあまり時間を考えないことが多いかもしれませんね。
ただ、大量に…となると、「この時間に食べて大丈夫かな?」と思うかもしれません。
「ヨーグルトを食べ過ぎて太ったのは、摂取のタイミングが悪いから」とするサイトも見受けられます。
食べるタイミングが重要とするサイトもあります。
当サイトでもおすすめタイミングを紹介していないわけではありませんが、今回は敢えてこういいましょう。
「置き換えるなら、いつでもOK」
朝食の代わりでもいいし、昼食でも夕食でもいいです。
おやつや夜食の代わりなら、3時でも夜の10時でもまぁいいでしょう。
ただし、カロリー相当分の「置き換え」です。上乗せはダメ!
また、低糖質タイプか無糖にしてください。
「他のサイトと言ってることが違い過ぎる」と思われる方もいるでしょうが、もう少しおつきあいくださいね。
「食後の方が乳酸菌は死ににくいから」は関係ない
まず、この「食後摂取」説。
これは体内で物質を生産し、それが健康に寄与するタイプの機能性乳酸菌には有効な方法かもしれません。
ですが、これらは胃酸などに対する耐酸性も検証された上での臨床データに基づいていますし、パッケージに「食後の摂取をおすすめします」などと書かれていなければ気にする必要はありません(見たことありませんが)。
何よりも、ダイエットするための重要なプロセスである“腸内環境改善”のためには、当サイトでも度々触れているように、菌の生死は問題ないのです。
とにかく腸に棲みついている善玉菌に“菌体”をエサとして届けること。
これが重要なのです。
確かに食前は胃酸が薄まっておらず、耐酸性のない乳酸菌やビフィズス菌は死んでしまうかもしれません。
しかし、食後に食べて乳酸菌が腸まで生きて辿り着いても、善玉菌のエサになることに変わりはありませんし、数日で便として体外に出ていく運命にあるのです。
ですから、食べるタイミングは胃酸がたくさん出ている空腹時でも、それが食事の代わりであるならば構いません。
ヨーグルトの食べ過ぎで太ったのは摂取のタイミングではなく、いつもの食事に上乗せしたり砂糖たっぷりのヨーグルトを食べたりしている可能性の方がずっと高いのです。
低糖質や無糖であれば、夜食で他のものを食べるよりダイエットにはずっといいです。
「寝る2時間前」がベストタイミングではない
これも結構耳にする説です。
ダイエットだけでなく、健康のためには内臓を休ませる必要がありますから、夜9時以降は食べ物を口にせず、内臓の負担を減らしてあげるのが一番です。
でも、ヨーグルトを食べるタイミングに関していうならば、寝る2時間前でも早朝でも大きな差はありません。
確かに、消化器官は食後3時間くらいと夜間の副交感神経が優位な時間帯の方が活発です。
大腸も小腸も「腸のゴールデンタイム」と呼ばれる午後10時から午前2時あたりを中心に活性化します。
このため、食べたヨーグルトが腸に届く時間と活発になる時間が重なるように「寝る2時間前」とか「夜9時前まで」に食べると良いというのが、この説の理由のようです。
しかし、腸のゴールデンタイムで活発になるのは善玉菌ではなく、腸の蠕動運動と消化・吸収です。
善玉菌は昼夜関係なく活動し、腸内を良い環境へと導いていきます。
それによって蠕動運動が行いやすくなったり、乳酸菌の生産物質などの刺激を受けて消化・吸収の効率が上がったりするわけです。
つまり、乳酸菌を毎日きちんと補給して善玉菌が元気になっていなければ、いくら腸のゴールデンタイムが来たとしても、その活動は鈍ってしまいます。
ですから、タイミングなど気にせず、自分が摂取しやすい時間帯に毎日食べ続ける方が大事だということです。
もちろん、ヨーグルトを大量に食べ過ぎても、置き換えなら何時でもOKです。
飽きて食べたくなくならないようにだけ、注意してくださいね!
なお、ヨーグルトが太る理由にならないことを下記でも扱っています。
ぜひご覧ください!
正しい乳酸菌の知識を学び、あなたに美容健康ライフを!!!