家族の一員…「ペット」。
飼い主としては一日でも長く一緒に暮らしたい、と願うことでしょう。
そのためにはペットの健康管理が欠かせませんね。
中でも大切なのは食事と運動。
「ちゃんとやってるよ」という飼い主も多いと思いますが、プラスαで差がつくのは人間もペットも一緒です。
そこで、今回は犬・猫を中心に、ペットの健康を守るための乳酸菌活用術をお教えします!
人間同様、いつもの食生活に乳酸菌をプラスするだけで、ペットの健康をサポートできますよ!
ただし、ちょっとした注意も必要ですので、最後までご覧くださいね。
ペットへのメリット
まずは、犬や猫などのペットに乳酸菌を与えるメリットについて触れておきましょう。
・免疫力アップ
・アレルギー改善
・下痢・便秘の改善
・被毛(毛並み)の改善
などなど、たくさんあります!
人間と同じ効果もありますが、その効能には人間とは理由が異なるものもあるんです。
詳しく見ていきましょう。
免疫は腸で作られる
当サイトでは、人間の免疫システムには腸と腸内細菌が深く関係していると何度も触れてきました。
これは、腸管免疫系といい、病原性のある細菌などの抗原に対して体を守るように反応する一方で、栄養となるたんぱく質、善玉菌などの有用な物質には反応しないように制御しています。
こういった一連の免疫反応は、犬・猫といった人間以外の動物でも同じです。
実際に、人間への有用性を確認するために、動物実験としてマウスが使われているのはご存知の通り。
差異はあれ、同じ生体防御システムがあるからこそ、実験モデルにできるわけですね。
そして、無菌状態で育てられたマウスは免疫系に異常が生じることも確認されています。さらに、このマウスの腸に善玉菌を定着させると、免疫系細胞が増殖することがわかっています。
善玉菌を増やすことは、ペットの免疫力をアップし、感染症へのリスクを軽減することにつながるわけです。
最近ではペットの寿命も延びて、かなり高齢の犬・猫も珍しくはありません。
でも、人間と同じように、ペットも年をとれば免疫力は弱まっていきます。
風邪をこじらせたら命取り…というのも同じ。
日頃から免疫力を高めるため、乳酸菌でサポートしてあげましょう。
アレルギー改善
一方で、免疫系は活発過ぎても体に害があることがわかっています。
体にとって必要なたんぱく質や、本来無害である物質(花粉やほこり)などに免疫系が過剰に反応してしまう状態…つまりアレルギーを起こしてしまうからです。
これをコントロールしているのも腸内の善玉菌であることがわかっています。
免疫が反応しすぎないように、免疫細胞のバランスを調節してくれているのです。
最近では人間だけでなく、犬や猫でもアレルギー症例が増え、大きな問題になっています。
毎日のペットの世話だけでなく、通院やアレルゲンフリーの処方食への出費も飼い主の大きな負担になりますね。
ペット保険に加入していても、アレルギー疾患は全額適用にならないケースも見られます。
特に、犬や猫は被毛があるためにアトピー性皮膚炎を発症すると治療が困難です。
塗り薬は舐めてしまうのでガードが必要ですし、皮膚の炎症が酷くなれば脱毛してしまいます。
患部を清潔に保つのも、人より難しいですね。
また、人間でもそうですが、アレルギー疾患の根本治療は確立しておらず、症状を改善するのが精いっぱいです。
この点を考えると、乳酸菌のチカラを借りて、アレルギーの原因となる免疫バランスの正常化を図るのが有効な手段と言えるでしょう。
下痢・便秘の改善
下痢や便秘の改善といえば“乳酸菌”と“食物繊維”。
これは常識になりつつありますね。
乳酸菌や食物繊維が腸内に棲む善玉菌を活発にし、腸内菌叢を良好な状態にすることは、人間も動物も同じです。
ただし、大きく違う点もあります。
それは、体の構造や消化機能の違いによる乳酸菌の恩恵の差です。
例えば、牛や羊などの草食動物。
彼らの主食は植物ですが、植物の細胞はセルロースを主成分とする細胞壁で守られています。不溶性食物繊維の成分ですね。
細胞壁はとても固く、これを壊さないと、細胞の内側にある栄養素を吸収することができません。
そこで、草食動物の多くは“反芻”…胃と口の間で食物を往復させたり、セルロース分解酵素を産生できたり、あるいは体内に共生している微生物の分解力を借りたりして、栄養を得ているわけです。
では、雑食性である人間は…というと、反芻もできないし、セルロース分解酵素も持っていません。
ただし、腸内に共生する善玉菌が細胞壁などの難消化性物質を分解してくれるので、便通がよくなったり、栄養を吸収できるようになったりするわけです。
そして、その善玉菌を増やす1つの要因”食物繊維”を摂取することも可能なので、乳酸菌と食物繊維の相乗効果で腸内環境を改善できるのです。
しかし、犬や猫となると、また話は違ってきます。
犬はペットとして飼われるようになってから雑食性を獲得しましたが、祖先はオオカミ。がっつり肉食です。ですから、犬も肉食性に近い雑食動物なんです。
さらに、猫は犬よりも肉食性に近い食性を強く残しています。
これは歯を見ても明らかですね。
犬や猫の歯は奥歯でさえ鋭く尖っていて、草食動物や人間の奥歯のように“すりつぶして細胞壁を壊す”といった食べ方は不可能です。
したがって、犬や猫の腸内環境を改善してあげたいからといって、食物繊維をあげると消化不良を起こし、下痢になってしまいます。場合によっては繊維質が腸に詰まり、腸閉塞を起こして命に関わる場合もあるくらいです。
食物繊維は腸内環境改善や便通には重要なファクターですが、犬や猫などの肉食性を残す動物に繊維質の多い野菜を食べさせることは適しません。
そこで登場するのが乳酸菌です!
(前置きが長くてスミマセン)
乳酸菌は犬や猫の腸内に棲んでいる善玉菌のエサとなり、腸内環境の改善に役立ちます。
食物繊維をあげられない分、下痢や便秘で悩んでいるペットには乳酸菌を利用すると良いでしょう。
最近ではペットのストレスも多く報告され、ストレス性の下痢も起こすことがわかっています。
また、便秘をすると悪玉菌が増殖し、これらが作り出す有害物質によってがんが発生するリスクも高まります。
気をつけてあげたいですね。
また、感染症にかかったときに処方される抗生剤は、腸内にいる善玉菌も殺してしまうため、腸内環境が悪化してしまいます。
こうなると免疫力も低下してしまうため、抗生剤を使用するときは一緒に乳酸菌を摂るようにすると良いでしょう。
さらに、大きなメリットとして、腸内環境が改善すると、便臭も軽減されますよ。
特にトイレシートに排泄する室内犬や猫にはお勧めです。
なお、犬や猫は食物繊維を消化できませんが、食事と一緒に摂ることで食べ物が消化される速度を緩やかにしてくれるため、他の栄養素の消化や吸収を助ける働きがあります。
マメ類などの不溶性食物繊維ではなく、キャベツやニンジンなど水溶性の食物繊維を含む野菜をよく煮て与えるようにすると良いでしょう。
便秘は不快感だけでなく、様々な悪影響をもたらし、思わぬ病気の原因にもなります。
慢性的になると改善に時間がかかるので、早めに対処してあげましょう。
被毛への効果
乳酸菌などによって腸内環境が良くなると、便通が改善されるので、新陳代謝が良くなります。
これは、生命活動の結果として生じた老廃物を集め、捨てるという行為がスムーズに進むからです。
このとき、老廃物は血流にのって集められますが、もし便秘をしていて体外に捨てられずにいると、血液中の老廃物は再び体内を巡り、新たに生じた老廃物は血流にのれず、そのまま各器官に残ります。
この弊害が現れやすいのが、“皮膚”と言われています。
皮膚は外界から体を守るため、非常に活発に新陳代謝を行っています。そのため、老廃物も多く生じます。
私たちも「便秘をすると吹き出物ができやすい」って言いませんか?
この吹き出物は、運び出せなかった老廃物が原因なんですね。
これが犬や猫ならどうなるでしょう?
犬や猫は、その種独特の美しい被毛を持っています。
この被毛を作っているのは、皮膚の細胞です。
私たちの頭皮と同じで、なかなか目につきにくい部分ですね。
被毛は私たちの毛髪と同じで、たんぱく質が主成分です。
ですから、皮膚の細胞にきちんとたんぱく質が届けられていないと、美しく艶やかな被毛は作れません。
もし、便秘をしていて皮膚の細胞に老廃物が溜まっていたらどうなるでしょうか。血流にのってたんぱく質が運ばれてきても、細胞は受け取ることができませんね。
つまり、便秘はペットの皮膚や被毛に悪影響を与えてしまうのです。
これも乳酸菌を与えて腸内環境を良好に保ってあげれば、改善します。
もちろん、便秘が解消されれば、老廃物を速やかに運び出し、必要な栄養を届けることができるので、皮膚だけでなく全身の新陳代謝もアップしますよ。
乳酸菌の与え方
では、どのようにしてペットに乳酸菌を与えれば良いでしょう?
主に2つの方法があります。
1つは人間用のヨーグルトを与えること、もう一つは、ペット用の乳酸菌入り食品を与えることです。
もうちょっと詳しく説明しますね。
人間用ヨーグルト
人間にとっても代表的な健康食品であるヨーグルトは、ペットにあげても大丈夫。
ただし、動物は本能的に酸味のある食べ物を警戒します。腐っているものと捉えるんですね。
ですから、ヨーグルトの酸味を嫌がる個体も見られます。できるだけ酸味の少ないものを与えたり、食事に混ぜたりしてみましょう。
逆に全く気にしない個体もいるので、好みはいろいろですね。
与えるのは、無糖タイプのプレーンヨーグルトにしましょう。
加糖タイプは嗜好性が高いですが、肥満や虫歯の素になりますので与えないでください。
1回に与える量は、犬や猫なら大さじ1杯程度。
特に犬は種類によって体格に差があるので、様子を見ながら増減してください。
ちなみにウサギやフェレット、ハムスターなどにもあげられます。
ウサギ・フェレットなら大さじ半分、ハムスターはドワーフなら耳かき1杯、ゴールデンなら2杯程度で様子を見ましょう。
ただし、どのペットでも乳アレルギーがない場合に与えてください。
なお、犬や猫では牛乳を与えるとお腹を壊す例が多く見られます。
これは牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素”ラクターゼ”を持たないためです。日本人にも多いんですよ。
でも、ヨーグルトは乳酸菌によって乳糖が分解されているので、お腹を壊すリスクはグーンと減ります。
中には敏感な個体もいますので、量を減らしたり、与えるのをやめたりするようにしましょう。
ペット用乳酸菌入り食品
粉末タイプで振りかけられるものや、ビスケットやゼリーに混ざっているものなど実に多種多様です。
中には乳原料を含まないものもあるので、乳アレルギーや乳糖に敏感な個体も乳酸菌を摂取できますね。
なお、アレルギーや持病などへの心配がある場合は、獣医師に相談すればペット用の整腸剤を処方してもらえますよ。
愛犬の腸内環境サポートサプリメント
↑犬用の乳酸菌に特化したサプリもあります。
これらのほとんどは乳酸菌製剤ですから、同様の効果を安心して得ることができますね。
まとめ
乳酸菌は人間だけでなく、ペットの健康にも効果があります。
特に食物繊維を大量に摂れない肉食の傾向が強い犬・猫では、乳酸菌のチカラを借りて腸内環境をサポートしてあげるのが良いでしょう。
下痢や便秘の改善、免疫力アップはもちろん、毛艶もよくなるなど様々な効果がありますが、ヨーグルトで与える場合は人間ほど順応できない個体もいるので、様子を見ながら少しずつ与えてくださいね。
心配ならばペット専用の乳酸菌配合フードやおやつ、サプリメントを利用しましょう。
ペットが健康で長生きできるよう、ぜひ乳酸菌を活用してくださいね!
正しい乳酸菌の知識を学び、あなたに美容健康ライフを!!!