毎月訪れるブルーな時期…女性特有の悩みですね。
閉経を迎える“更年期”には慢性的に症状が続き、穏やかな日々が送れなくなる人もいます。
この解決策として、大豆イソフラボンが注目されたのは有名ですが、最近の研究で、その効果を得やすい人と得にくい人がいることがわかりました。
では、どうすれば、女性特有の不調を軽減することができるのでしょうか?
今回は、イソフラボンの効果を得にくい人にも効く成分“エクオール”について紹介します。
エクオールとは?
テレビや雑誌の広告などで話題になっている“エクオール”。
エクオールとは、大豆などの豆類に多く含まれるフラボノイドの一種“イソフラボン”から作られる物質です。
エクオールは、女性ホルモンと同じ効果を持つとして注目されたのです。
どういうことか、詳しく説明しましょう。
女性の体は女性ホルモンの影響を大きく受けていて、女性らしい体つきや出産・月経などをコントロールしています。
そして、ホルモンには、特定のホルモンを受け取る“受容体(レセプター)”があります。ホルモンAはレセプターAに、ホルモンBはレセプターBにくっつくわけですね。
このレセプターがホルモンを受け取ることによって、作用が現れるわけです。
ところが、ホルモンとよく似た構造をしていると、レセプターにくっつくことができます。
この場合、ホルモンを受容したわけではないのに、ホルモンと錯覚して同じ作用が現れるのです。
(鍵と鍵穴の関係です!)
エクオールは、女性ホルモンの1つ“エストロゲン”とよく似た化学構造をしています。
そのため、エストロゲンのレセプターと結合することができるので、エストロゲンが分泌された時と同じような効果が得られるというわけです。
エストロゲンと似た働きをするエクオールは
- 女性の美容(肌や髪のツヤ、バストアップなど)
- PMS(月経前症候群)による生理痛、イライラなどの不調の軽減
- 更年期障害(ほてり、冷え、イライラ、憂鬱感、動悸、多汗など)の軽減
に効果がある成分として注目されています。
中でも、更年期障害への効果が期待されています。
PMSは月経が始まればエストロゲンの分泌が促進され、不調はなくなりますが、更年期障害は閉経によるものなので、それ以降はエストロゲンの分泌量は低下したままになり、不調が慢性的になってしまうからです。
逆に言うと、エストロゲンと似た働きをする物質があれば、不調は改善できます。
そこで、注目されたのがイソフラボンだったわけですね。
でも、イソフラボンを摂取しても効果が得られない場合が半数近くあるのです。
イソフラボンが効かない理由
数年前までは「女性のミカタ」としてイソフラボンを含む大豆や豆乳などの摂取がブームになっていましたが、最新の研究では、イソフラボンのエストロゲン様作用については否定的な研究結果も多くあります。
これは、イソフラボンを摂取しても、それが効かない人がいることがわかったからです。
一体、どういうことでしょうか?
実は、イソフラボンは体内に入っても、そのままでは機能しません。
イソフラボンに含まれる“ダイゼイン”という物質が、エクオールに代謝(化学構造が変化)されることで、初めて作用するようになります。
これは、ダイゼインのままだとエストロゲンのレセプターと結合できないからなんですね。
そして、ここがポイント!
ダイゼインをエクオールに代謝してくれるのは、“腸内細菌”なんです。
通常の代謝は、細胞レベルや臓器など自力で行っていますが、ダイゼインを代謝してエクオールを産生することは、私たちの体だけではできないことなんですね。
ですから、このダイゼインの代謝をしてくれる腸内細菌があなたの腸に棲みついていれば、イソフラボンの恩恵が受けられる…というわけです。
逆に言うと、どんなに頑張ってイソフラボンを摂取しても、この腸内細菌が棲みついていなければ、思うような効果は得られない…ということになります。
実際のところ、この腸内細菌の日本人の保有率は約50%!
なんと2人に1人しかイソフラボンの恩恵を受けられなかったわけです。
イソフラボンを摂取した人たちの間で「効いた!」「効かない!!」と賛否両論になったのも納得ですね。
しかも、20歳前後の若年層に限って言うと、5人に1人しかエクオール産生菌の保有者がいないそうです。
食生活の変化の影響が考えられるそうですよ。
エクオールを産生できる菌種は、様々な企業や研究機関によって突き止められており、現在20種程度が同定されています。
中には乳酸菌に属するもの(Lactococcus garvieae)もいます。
詳しくご覧になりたい方は、こちらをどうぞ↓
エクオール産生菌単離・同定に関する報告例
(国立健康・栄養研究所食品保健機能研究部)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/51/2/51_74/_pdf
しかし!
エクオールを産生できる菌を見つけられても、わたしたちの体内で働いてもらうことはできません。
人に棲みつく腸内細菌の種類は、子供のころに決まってしまうので、後から増やすことは難しいといわれています。
エクオールが良い理由
そこで、脚光を浴びたのがエクオールです。
「イソフラボンを摂取してもエクオールに変換できないのなら、初めからエクオールとして摂取すればいいんじゃない?」ってことですね。
エクオール産生菌を摂取してエクオールを体内で作ることは現段階では難しいので、エクオールを食べて摂取するのが一番簡単な方法といえるでしょう。
…といっても、「食べたら消化されて、エクオールじゃなくなっちゃうんじゃ…」という心配もありますよね?
でも、ご安心を!
エクオールは消化されることなく吸収され、エストロゲン様物質として機能します。各メーカーが行っている経口摂取試験でも、効果が得られることが確認されています。
そして、エクオールのメリットがもう1つ!
実は、イソフラボンの摂取には注意が必要なんです。
イソフラボンの過剰摂取を続けると、子宮内膜増殖症など健康へ悪影響を及ぼす可能性があるとされているからです。
もちろん、食事として摂取する量なら全く問題がないのですが、イソフラボン配合のサプリメントなどでは注意が必要です。
こういった経緯から、厚生労働省が安全なイソフラボン摂取量の上限を一日あたり70~75mg、特定保健用食品などで追加的に摂取する安全な上限量を一日あたり30mgと発表しています。
では、エクオールには過剰摂取の問題があるのでしょうか?
結論からいいますと、現時点では「ない」と言えるようです。
大手製薬会社によると「エクオールは医薬品ではなく食品に分類され、原料も食品素材であるため」問題はないとしていますし、厚生労働省も健康への悪影響を示唆してはいません。
イソフラボンと違って、エクオールは体内で産生されている物質なので、安全性もイソフラボンより高いという意見もあります。
もちろん、適量を守って摂取することが前提条件です。
人間の体は、1つの作用を促進するものと抑制するものが存在して、バランスを保っています(拮抗作用)。
ホルモンも例外ではありません。
エストロゲンは、プロゲステロンというホルモンと作用しあって女性のリズムを作っています。
用量を超えて摂取すると、ホルモンバランスが崩れる可能性があることは否定できません。
気を付けましょう。
イソフラボンを悪者扱いするサイトもありますが、問題なのはあくまでも過剰摂取です。大豆は低カロリーで高たんぱく、食物繊維など、栄養的に優れた食品ですし、腸内環境の改善にも効果がありますので、適量を摂るようにしましょう。
エクオール産生菌がいるか調べる
自分の腸にエクオール産生菌がいるかどうかは、市販のキットを使えば調べることができます。
エクオールは尿中に排出されるので、尿を採取して郵送し、検査してもらえればわかるのです。
ポストに投函するだけなので、手間いらずですね。
結果は10日間くらいでわかるところが多いようです。
キットは楽天などでも多数販売されていますので、気になる人は調べてみると良いですね。
エクオールの摂り方
エクオールを直接摂るなら、サプリメントが一番です。
…というか、サプリしかないです(泣)。
現在、たくさんのエクオール配合サプリメントが発売されていますが、安全面や効果を考えると、注目したいのはコレです↓
『エクオール+ラクトビオン酸』
http://www.suppli-tm.com/lp/equol/index_afli.html
いくつかの大手製薬会社もエクオール製品を手掛けていますが、エクオールの目安量は10㎎と同じです。
これはエクオールの効果を得るのに必要とされる1日分の量です。
この商品は、エクオール研究で『北米閉経学会』にて学会賞を受賞している医師との共同開発によるもので、その高い効果が多くの人に実感されています。
また、他社のサプリメントには含まれていない“ラクトビオン酸”が配合されているのも特徴です。
ラクトビオン酸はオリゴ糖の一種で、カスピ海ヨーグルトにも含まれる成分です。
ラクトビオン酸には、
- 骨粗しょう症を予防
- 更年期障害の症状を改善
- 腸内環境を整える(→エクオールの産生力がアップ)
- 肌の調子を整える
といった効果があり、エクオール産生菌を保有している人にも嬉しい成分といえますね。
なお、原材料表示にある“HPMC”を見て、「なに?」と思う人もいるかもしれませんが、これは植物に由来するセルロースで、医薬品の安定剤としても使われる食品添加物です。
薬にも使われる物質ですから、安全性は折り紙付きですね。
エクオールをたくさん作るには?
現代の日本では、大豆製品などの豆の摂取量自体が年々減少しており、イソフラボンの摂取量も減少しています。
仮に、エクオール産生菌を保有していても、1日に3㎎程度のエクオールしか産生できないといわれています。
これでは有効量の10㎎に届きませんね。
もしもラッキーなことに、あなたの腸にエクオール産生菌が棲みついているなら、食物繊維をせっせと摂って、善玉菌を殖やすことを心がけましょう。
なぜなら、善玉菌が食物繊維を食べて増殖することで、エクオールの産生量が増加することが確認されているからです。
他にも、日本人特有の炭水化物が多い食事内容の場合には、緑茶や魚油の摂取量が多いほど、エクオールの産生量が増すことがわかっています。
美容と健康のため、摂り入れるといいですね!
もちろん、サプリメントで足りない分を補うのもOK!
大豆製品で効果を実感できる人は、目安量より少なめに摂取すれば安心ですね。
正しい乳酸菌の知識を学び、あなたに美容健康ライフを!!!